イーロン・マスク：ビットコインのヒーローから悪役へ

　　2021年初め、Teslaの15億ドルのBitcoin購入に伴い、イーロン・マスク（Elon Musk）氏は暗号通貨のヒーローと見られていました。しかし、センチメント・トラッキング企業のAwario社によると、世論はいま逆方向に転換していました。この変化は、環境保護を理由にTeslaが自動車の購入にビットコイン支払いの受け付けを停止とのマスク氏のツイートでの発表が重要な一因となりました。多くの人はこの発表は暗号通貨に対する攻撃だと考えました。

　　Awario社のデータによると、マスク氏に対する肯定的な意見のツイートは、先月、過去最低を記録しました。5月になると、否定的なツイートに対する肯定的なツイートの割合が約4分の1に減少し、Awario社がこの指標の追跡調査を始めた2020年10月以降で最も低い割合となりました。

　　この状況について、投資会社Gerber KawasakiのCEOであるロス・ガーバー（Ross Gerber）氏は、市場を操作して人々のお金を弄ぶことは、マスク氏にとってリスクの高い戦略であると警告しています。

　　マスク氏にアドバイスをしたのは、ガーバー氏だけではありません。アメリカンフットボールリーグNFLの選手のラッセル・オクング（Russell Okung）氏は、マスク氏にビットコインから手を引いて、代わりに宇宙に専念するよう提案しました。オクングはイベントを開催し、「マスク氏が暗号通貨について比較的未熟であり、このテーマの権威と見なされるべきではないこと」を一般の人々に優しく伝えたいとしています。

　　オクン氏は昨年、1,300万ドルの給料の半分をビットコインで受け取ることを選択し、大きな話題となりました。NFLはすべての選手に米ドルのみで給与を支払っていますが、オクンの取り決めは、ストライク（旧ザップ）社の暗号通貨の支払いサービスでした。

　　さらに、6月4日10:07には、マスク氏によるネガティブツイートが拡散され一時1,000ドル以上急落しました。マスク氏がリンキンパーク（Linkin Park)の歌詞を引用し、ビットコインアイコンと割れたハートマークが愛情や信頼からの離反を意味することから、テスラの保有するビットコイン売却示唆を含め、市場に嫌気されたものと見られます。

　　仮想通貨の動きが今後もマスク氏による影響を受け続けると考えられます。