概要:[30日 ロイター] - <為替> ドルが対ユーロで上昇したものの、四半期末を控え終盤では上げ幅を縮小した。ユーロ圏のインフレ率が過去最高を更新し、米国の個人消費の伸びが予想を上回る中、リスクに敏感な
[30日 ロイター] - <為替> ドルが対ユーロで上昇したものの、四半期末を控え終盤では上げ幅を縮小した。ユーロ圏のインフレ率が過去最高を更新し、米国の個人消費の伸びが予想を上回る中、リスクに敏感なコモディティー関連通貨が下落した。
ドル指数は週間で3週間ぶりの下げとなったものの、四半期では2015年第1・四半期以降で最大の上げを記録した。
ポンドは対ドルで序盤に売られていたが上昇に転じ、4日続伸となった。
ポンドは26日に過去最安値を付けたが、イングランド銀行(英中央銀行)が28日から連日で英国債の買い入れを実施したことを受け、週間でも上昇する見込み。
欧州連合(EU)統計局が30日発表した9月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比上昇率が10.0%と、前月の9.1%から加速し、過去最高を更新した。市場予想(9.7%)も上回った。
米商務省が30日発表した8月の個人消費支出(PCE)は前月より0.4%増えた。市場予想の0.2%増を上回った。インフレ圧力が8月も高まっていたことが示され、連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを継続する根拠になる可能性がある。
アムンディUSの債券・通貨戦略部門ディレクターのパレッシュ・ウパドヤヤ氏は、投資家が経済指標よりもポートフォリオのリバランスに集中したため「きょうの取引は月末・四半期末のフローにより歪んだ」とした上で、「世界経済成長への懸念、地政学的リスク、米金利上昇といったカウンターシクリカルな要素に支えられているため、現時点ではドルの強力な強気トレンドに対抗することはできない」と指摘。一方でコモディティー通貨は、需要や世界経済の成長に対する懸念から30日に発表されたインフレ統計に強く反応したと述べた。
米ドルはカナダドルに対して1.04%上昇。ニュージーランドドルは2.24%、豪ドルは1.62%それぞれ下落した。
ポンド/ドルは一時1.1235ドルを付けたが、終盤は0.28%高の1.11500ドル。
ユーロ/ドルは0.10%安の0.98055ドル。ドル指数はこの日0.08%安、週間で0.899%安となったが、四半期では7.2%上昇した。
フォレックスライブのチーフ外為アナリスト、アダム・バトン氏は「きょう発表された経済指標で再びインフレの高まりが示されたことは驚きだ。金利やドルに上昇圧力がかかり続けるだろう」と述べた。
ドル指数は年初来で約17%上昇。月間では3.15%高と4月以来の大きさとなった。
ドル/円は0.2%高の144.765円。9月上旬以来おおむねもみ合っている。
人民元は前日の下げから回復。中国人民銀行(中央銀行)が人民元の下落を食い止めるため、主要な国有銀行に対し、オフショア市場で元を買ってドルを売る準備をするよう指示したとロイターが報じた。
スイスフランは対ドルで1.05%下落。スイス国立銀行(中央銀行)が第2・四半期に500万スイスフラン(512万ドル)相当の外貨売り介入を実施したことが、30日発表のデータで明らかになった。
<債券> 国債利回りが上昇した。今週は、イングランド銀行の長期債の時限的な買い入れ開始を受け国債価格が急上昇し、その後はFRB当局者の金利は長期にわたり高水準にとどまるとの発言を受け国債価格が低下するなど、債券相場は大きく揺れ動いた。
FRBのブレイナード副議長はこの日、高インフレを抑制するため当面は高水準の金利を維持する必要があり、時期尚早な利下げを行わないように注意しなければならないと述べた。
RBCグローバル・アセット・マネジメントのブルーベイ米国債部門責任者、アンドレイ・スキバ氏は「インフレ率が有意に低下しなければ、FRBは景気後退に直面しても政策を転換し市場を支援することができない」と指摘。市場はインフレがどの程度速く低下するか注視していると述べた。
英中銀が28日に長期債買い入れを発表する直前、米10年債利回りは一時4.004%と、12年ぶりの高水準を付けた。ただ同日中に3.707%に約26ベーシスポイント(bp)低下。一日の低下幅としては2009年3月以来の大きさとなった。
スキバ氏は、市場では英国発の動きの消化がなお続いているとの見方を示した。
2年債利回りは8.8bp上昇の4.258%。
10年債利回りは7.6bp上昇の3.823%。
30年債利回りは8.3bp上昇の3.776%
2年債と10年債の利回り格差はマイナス43.9bpにやや縮小した。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.166%、10年物が2.146%。
ドル建て5年先5年物インフレスワップは2.176%。
<株式> 主要3指数が3四半期連続の下げとなり、S&P総合500種とナスダック総合が08年以来、ダウ工業株30種は7年ぶりの連続安となった。第3・四半期は歴史的な高インフレや金利上昇、リセッション(景気後退)懸念などを背景に波乱含みの展開だった。
この日は序盤の上昇から一転し大幅安となった。S&P500の9月の下げは20年ぶりの大きさ。S&P500とダウが3週連続安となったほか、3指数はいずれも2カ月連続で下落した。
カーソン・グループのチーフ市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「FRBが40年ぶりの高水準となっているインフレに対抗するため、あらゆる手段を講じているという認識から、投資家はFRBが経済を悪化させ、リセッションに追い込むのではと懸念している」と述べた。
米スポーツ用品大手ナイキが29日発表した第1・四半期(8月31日まで)決算は20%の減益となった。北米市場で過剰在庫に向けた大幅値引きやコスト増が響き、マージンも大幅に低下した。ナイキの株価は12.8%安。
S&P主要11セクターのうち、不動産のみが上昇。一方、公益事業と情報技術が急落した。
アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、ナイキが重しとなった。
30日は四半期末のポジション調整などによりボラティリティーが高まった可能性がある。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.45対1の比率で上回った。ナスダックでも1.38対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は124億4000万株。直近20営業日の平均は114億5000万株。
<金先物> 米物価関連統計やドル相場の動きを眺めて反発した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比3.40ドル(0.20%)高の1オンス=1672.00ドルだった。週間ベースでは16.40ドル(0.99%)上昇。月間では6カ月連続での下落となった。
<米原油先物> 有力産油国の生産方針に関する決定に注目が集まる中、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月11月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.74ドル(2.14%)安の1バレル=79.49ドル。ただ週間では0.95%上昇し、5週ぶりにプラスとなった。12月物の清算値は1.70ドル安の78.72ドル。
ドル/円 NY終値 144.75/144.78
始値 144.45
高値 144.82
安値 144.44
ユーロ/ドル NY終値 0.9799/0.9803
始値 0.976
高値 0.9817
安値 0.9736
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 86*03.00 3.7807%
前営業日終値 87*16.50 3.6930%
10年債(指標銘柄) 17時05分 91*06.50 3.8286%
前営業日終値 91*26.50 3.7470%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*05.50 4.0865%
前営業日終値 100*21.00 3.9790%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*30.63 4.2726%
前営業日終値 100*04.88 4.1700%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 28725.51 -500.10 -1.71
前営業日終値 29225.61
ナスダック総合 10575.62 -161.89 -1.51
前営業日終値 10737.51
S&P総合500種 3585.62 -54.85 -1.51
前営業日終値 3640.47
COMEX金 12月限 1672.0 +3.4
前営業日終値 1668.6
COMEX銀 12月限 1903.9 +32.7
前営業日終値 1871.2
北海ブレント 11月限 87.96 ‐0.53
前営業日終値 88.49
米WTI先物 11月限 79.49 ‐1.74
前営業日終値 81.23
CRB商品指数 268.2911 ‐2.8646
前営業日終値 271.1557