概要:グーグル傘下のFitbitは、新製品の日本展開について発表しました。中でも「Versa 4」と「Sense 2」は2年ぶりとなるスマートウォッチの新製品で、今後Googleマップにも対応する予定。
日本で9月中に発売されるFitbitの新製品。
撮影:小林優多郎
Fitbit(フィットビット)は9月16日、2021年にグーグル傘下となってから初となるスマートウォッチを含めた新製品について、日本向け説明会を実施した。
製品自体は既に発表済みだが、日本向けの発売時期と価格が明らかになった形だ。
Versa 4…‥9月29日発売予定、2万7800円(税込)
Sense 2…‥9月29日発売予定、3万2800円(税込)
Inspire 3…‥9月15日に発売済み、1万2800円(税込)
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新型スマートウォッチ「Versa 4」「Sense 2」
記録できるフィットネスの種類が増えた「Fitbit Versa 4」。
撮影:小林優多郎
Fitbitとしては2年ぶりのアップデートとなったのがスマートウォッチ製品「Versa 4」と「Sense 2」になる。
新たに従来機の2倍以上となる40種類のエクササイズに対応し、リアルタイムの各種統計情報の表示の対応した。
本体自体はAndroidとiOS両方に対応しているが、AndroidであればFitbit上でメッセージの返信ができる「スマート返信」機能が利用できる。
センサーが追加されストレス管理が細かくできるようになった「Fitbit Sense 2」。
撮影:小林優多郎
また、フラグシップ機である「Sense 2」は、Versa 4の特徴に加えて、皮膚電気活動(EDA)センサーによるストレスマネジメント機能を搭載している。
ストレスマネジメント機能自体は、2年前から別のFitbitデバイスでも搭載されているが、Sense 2ではEDA、心拍数、皮膚温度それぞれのセンサーのデータから、急速なストレス値の変化に対応。
過度なストレス変動を検知すると、ストレスの内容を振り返るよう通知が届く。
撮影:小林優多郎
Sense 2が急速なストレス値の変動を検知すると、その理由を記録できる。さらに、日/週/月単位でストレス変化のレポートをアプリで確認することも可能だ。
フィットネスの情報を細かく管理したい人は「Versa 4」、さらにストレス情報も管理して自分の身体について把握したい人は「Sense 2」という住み分けになる。
なお、両機種ともSuicaやVisaのタッチ決済(PayPay銀行、Sony Bank Walletのデビットカード)が利用できるキャッシュレスサービス「Fitbit Pay」に対応する。
また、Sense 2では初代Senseから引き続き、心房細動の検知や心電図(ECG)機能に対応しているが、日本では利用できない。
このような状況について、発表会に登壇したFitbit Vice Presidentで、現在はグーグルのAPAC&Health Solutions International Fitbit ディレクターのSteve Morley(スティーブ・モーリー)氏は「(日本での)許認可取得に向けて取り組んでいる」とコメントしている。
Advertisement新しいApple Watchや安価な中国勢との差別化は?
海外出張時など、睡眠規則が乱れると睡眠プロフィールが「ハリネズミ」になると、自身の経験を語るSteve Morley(スティーブ・モーリー)氏。
撮影:小林優多郎
スマートウォッチ分野では、同16日にはアップルの新製品「Apple Watch Series 8」「Apple Watch SE(第2世代)」が発売。23日には「Apple Watch Ultra」の発売も控えている。
IDC Japanの調査によると、ウェアラブル市場におけるアップルのシェアは出荷数ベースで世界、国内ともに1位(2021年第4四半期時点)。先述の心電図機能についても、2021年1月から「Apple Watch Series 4」(2018年発売)以降の機種(SEを除く)で対応している。
最新のSeries 8の場合、直販価格5万9800円(税込)からと、Fitbitとは倍近い差はあるものの、「使えるはずの機能がFitbitでは使えない」ことは、より高機能なものを選ぶユーザーであれば気になるポイントだろう。
さらに、市場では、シャオミやOPPOなどの中国メーカーの1万円台またはそれを下回る価格の安価なスマートウォッチも出現している。
競争の激しい市場環境でFitbitとしてどう「差別化」していくのか。モーリー氏は、Sense 2で新搭載したEDAセンサーや、それらのデータを組み合わせた全体的なユーザーに対する分析情報の提供といった点を強調。
グーグルのHead of Fitbit Japanである千川原智康氏。
撮影:小林優多郎
また、同会場に登壇したグーグルのHead of Fitbit Japanである千川原智康氏は「(Fitbitは2013年から心拍センサーを搭載しており)世界で最も心拍データを持っている」とし、蓄積されたデータを活用した精度の高い分析機能が、Fitbitの真価であると話した。
気になる10月6日発表のPixel Watchとの立ち位置の違い
Fitbitはグーグル傘下の企業となっている。
撮影:小林優多郎
なお、モーリー氏も千川原氏も元々Fitbitのスポークスパーソンだったが、前述の通り肩書きはグーグル社の所属に変わっている。
グーグルは2021年から正式にFitbitを傘下におさめたが、徐々にそのシナジーが明らかになっている。現在、明らかになっている内容は以下の3つだ。
1. Pixel Watchの体験の多くはFitbitの体験を提供する
FitbitはVersa 4とSense 2で初めてGoogleマップ対応を発表した。
詳細な機能は明らかにされなかったが、ターンバイターン方式(目的地に向かう際に、交差点ごとに方向を教えてくれる)ナビ機能が利用できるという。
なお、両機種の発売当時は非対応、後日アップデートにより提供される。時期について、モーリー氏は「近い将来」とし、Fitbit広報担当者は「年内には提供する」と話している。
2.Pixel Watchの体験の多くはFitbitの体験を提供する
今回の発表会で多くは語れなかったが、モーリー氏はグーグルが5月に予告した新型スマートウォッチ「Pixel Watch」について、「Pixel Watchの体験の多くはFitbitの体験を提供するもの」と触れた。
5月時点でもグーグルはPixel Watchについて最新の「Wear OS by Google」を搭載し、Fitbitのエッセンスが搭載されることは予告している。
特に今回発表になったフラグシップ機「Sense 2」との立ち位置の違いについて気になるところだが、モーリー氏は「詳細は10月6日(23時、日本時間)に」とした。
3. スマートホーム機器との相互接続性の向上に取り組む
もう1つは、スマートディスプレイ「Nest Hub(第 2 世代)」に搭載された睡眠モニター機能についてだ。
現在もNest Hub(第 2 世代)では設定することで、Fitbitのアクティビティーや睡眠の様子のデータを表示できるが、睡眠モニターについてはさらなる相互接続性の向上に取り組んでいるという。
具体的な内容はまだ触れられなかったが、現在はグーグルの「Google Fit」とFitbitはそれぞれで独立したデータを保有している。
両者のユーザーはサードパーティー製アプリなどを用いて、内容を同期できるが、スマートホームのNest製品や前述のPixel Watchなどで、より綿密な連携ができるようになることが期待される。
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(文、撮影・小林優多郎)