概要:来週の外為市場でドルは底堅く推移すると予想されている。米大幅利上げ観測やユーロ安基調を背景に上値余地が意識されやすい。米連邦準備理事会(FRB)高官による発言や主要な経済指標を見極めながらの展開となりそうだ。
8月26日、来週の外為市場でドルは底堅く推移すると予想されている。
[東京 26日 ロイター] - 来週の外為市場でドルは底堅く推移すると予想されている。米大幅利上げ観測やユーロ安基調を背景に上値余地が意識されやすい。米連邦準備理事会(FRB)高官による発言や主要な経済指標を見極めながらの展開となりそうだ。
予想レンジはドル/円が134.50━138.50円、ユーロ/ドルが0.9850―1.0150ドル。
26日の米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)でパウエル米FRB議長は、インフレ抑制を優先し、積極的な金融引き締め姿勢を示すとみられている。
ニッセイ基礎研究所の上席エコノミスト、上野剛志氏は、ジャクソンホール会合を経た後も、「9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での75ベーシスポイント(bp)の利上げ観測が残り、ドルの堅調さは続く」とみる。
FRB高官が講演で引き続きタカ派姿勢を示したり、8月のADP雇用統計やISM製造業景況指数、雇用統計など主要な経済指標で底堅い内容が確認されれば、ドル買いにつながりやすい。
また、欧州でのエネルギー供給不安や景気減速懸念を背景にユーロ/ドルはパリティ(等価)割れの推移が続くとみられるほか、金融政策の違いからも、「欧州通貨や円は買いにくく、ドルは選好されやすい」と、上田東短フォレックスの営業企画室長、阪井勇蔵氏は予想する。
8月のユーロ圏消費者物価指数(HICP、速報値)や7月のユーロ圏卸売物価指数(PPI)などが発表され、強い伸びが確認された場合はインフレ懸念から、ユーロ安/ドル高が一段と強まりやすい。「欧州金利の上昇に米金利もつれ高となりやすく、ドル買いにつながる」(上野氏)という。
一方、足元では投機的なドル買い/円売りポジションが膨らんでいるとみられ、米長期金利の低下や経済指標が悪化すれば、ドルは一旦調整が入る可能性もある。
政府は26日、ウクライナ侵攻を続けるロシアで部分的動員令が発出されるなど、最近のウクライナを巡る国際情勢を受けロシアに対する追加制裁措置を決定した。
来週の東京株式市場は、強含みが想定されている。経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長による講演の内容次第という見方もあるが、ネガティブな場合についても織り込まれており、イベント通過で安心感が生じるという。潜在的な買い需要が大きいなど、好需給も注目され、きっかけ1つで踏み上げに発展する可能性もある。
東京株式市場で日経平均は、前営業日比162円37銭高の2万8641円38銭と、続伸して取引を終えた。前日の米市場での長期金利低下を受け、ハイテク株比率の高いナスダック総合が上昇したことから、半導体関連株やハイテク株を中心に堅調だった。ただ、イベント前で後場は徐々に様子見姿勢が強まり、1日を通して商いは薄かった。
午後3時のドル/円は、前日のニューヨーク市場終盤(136.50/53円)から上昇し、136.85/87円付近で推移している。時間外取引の米長期金利の上昇を背景にドル買い/円売りが優勢となった。